【連載:思い出レシピ回想記①】素朴な味の卵料理『ケランチム』


【連載:思い出レシピ回想記①】素朴な味の卵料理『ケランチム』

今日から不定期で更新していく【連載:思い出レシピ回想記】

誰の心にもある、懐かしくて温かい家庭料理の記憶。ここでは、博淑屋代表井口が幼少の頃から慣れ親しんで来た韓国の家庭料理について、エピソードを語ると共に『文章に登場するお料理のレシピ』も合わせてご紹介します。よろしければご一読下さいませ。

素朴な味の卵料理『ケランチム』

私が小学生だったころ名古屋市港区に住んでいたハルモニ(父方の祖母)のお家でお昼ご飯を食べるときの定番メニューは、白いご飯・干しタラの入ったわかめスープ・青唐辛子のしょうゆ漬け・数種類のナムル・水キムチ・カクテキなど。それらの料理を韓国の螺鈿(らでん)塗りが施された大きなちゃぶ台に並べて皆で囲みます。

今なら喜んで食べるそれらのおかず。当時小学生だった私にとってはなかなか箸の進まない献立でした。なぜなら、味が濃過ぎる。香りが強過ぎる。そもそも唐辛子が強過ぎて食べられない。唯一『水キムチ』の汁だけは、さっぱりしていて喉越しが良くそればかりをスプーンですくって口に運んでいました。そんな偏食の私を見かねて、ハルモニがいつも作ってくれていたのが『ケランチム』。「ケラン、作ったるからな。」そう言って中座し、よく台所へ消えて行ったものです。ケランは『卵』、チムは『蒸す』という意味の韓国風茶碗蒸しです。

日本の茶碗蒸しの絹のような食感とは違い上の部分はしゅわしゅわしていて、底の部分はつるりとしていて無垢で素朴な味わい。私はそれを、白いご飯と混ぜて食べるのが大好きでした。ハルモニは、「年寄りみたいな食べ方だな」と笑っていました。喜んでくれる事が嬉しくて食べ過ぎてしまい食事後はいつもお腹が苦しかった事を覚えています。

大人になって、あの時のケランチムが食べたくて、作るのですがやっぱりちょっとだけ違うのです。何か別の調味料が入っていたのかな。あの独特なざらざらしたどんぶりの材質が良かったのかもしれない。しかしながら、「ハルモニが私の為に作ってくれている」という幸せな気持ち。それこそが特別な隠し味だった事は間違いない。

 

『ケランチム』の作り方

■材料…卵・水・顆粒だしの素

①どんぶりに卵を割って顆粒だしと水を加え箸でよくかき混ぜる。

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②鍋に浅くお湯を張って、強火でどんぶりごと15分ほど蒸す。気泡が入ろうが、ダマがあろうが気にしない。

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もちろん蒸し器でもできます。一人分ずつ小分けして蒸しても。水の量は卵に対して5:1くらいかな。豪快に蒸してたっぷりいただきましょう。